日本義肢装具学会誌
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特集 脳卒中歩行障害に対する装具療法
脳卒中歩行障害の総論
川手 信行中島 卓也
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2022 年 38 巻 3 号 p. 190-193

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抄録

歩行は,運動エネルギーを位置エネルギーに変換し,再び運動エネルギーに再変換する連続した運動であり,これを円滑に行うための機能が,立脚期足部の3つのロッカー機能である.また,歩行における自動的な左右下肢の交互運動は,脊髄にあるといわれているCPG(central pattern generater)が関与し,交互運動の切り替えのためには,TSt時の股関節伸展による股関節屈筋群からの求心性入力が重要であるといわれている.脳卒中などの痙性麻痺においては,痙縮が持続することにより股関節拘縮,内反尖足が生じ,立脚期の股関節のTrailing Limb Angle(TLA)や足部のロッカー機能が消失し,Extension thrust pattern,Buckling knee pattern,Stiff knee patternなどの異常歩行(Qervanら)をきたす.これらの異常歩行パターンは反張膝などの合併症を誘発する可能性があるため,早期からの適切な装具療法が重要である.

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© 2022 日本義肢装具学会
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