2023 年 39 巻 2 号 p. 138-143
先天性の両足部変形を有する左被殻出血後の重度右片麻痺かつ高度肥満の症例を経験した.症例は38歳男性で19病日に当院入院し,両側の内反尖凹足変形に対応した踵の補高や内側アーチサポートなどの修正を加えた半長靴を用いて右長下肢装具と左靴型装具を作製した.装具着用によって立位の安定,荷重時の疼痛の改善および介助負担の軽減を認め,装具なしでは実施困難であった起立やステップ,歩行など抗重力位での課題指向型訓練の反復が可能となった.154病日には左松葉杖での屋内歩行が自立し,入浴と階段以外の基本的ADLが自立した.その後,198病日に障害者支援施設へ入所し,独居へ向けた生活訓練を継続した.重複障害への対応を求められる機会は増加しており,個々の症例に最適の装具療法を行って予後の改善を図る必要がある.