2023 年 39 巻 3 号 p. 195-201
高齢者の車椅子座位における問題点として,骨盤後傾による仙尾骨部の褥瘡が挙げられる.日常的に車椅子乗車により座位時間を確保する高齢者も多いものの,標準型車椅子に応用可能な仙尾骨部の褥瘡予防をした報告は少ない.そこで,車椅子に乗車した状態で骨盤前傾効果が期待できる機構のある形状記憶合金コルセットを装着した時の仙尾骨部座圧の減少効果を検証した.対象者は,入院中の高齢者16名(年齢:83±8歳)とした.本コルセットありなしの条件間比較の結果,本コルセットありにより仙尾骨部座圧は有意に低値を示した.そのため,本コルセットの装着は標準型車椅子に応用可能な仙尾骨部の褥瘡予防の1つとして考えられた.