2023 年 39 巻 3 号 p. 211-218
近年では変形性膝関節症(OA膝)に対しAgilium Freestep(AFS)が国内で普及しつつあるが,その機序については明確になっていない.本研究ではAFSの効果発現機序を明確にするために健常者とOA膝を対象に三次元動作解析装置を用いて,関節角度変化や前額面上の膝関節モーメントにどのような違いがあるか調査した.結果として歩行中の荷重応答期にAFSの抵抗モーメントが上昇し,AFSは足部回内に伴って下腿を内旋させ,正常歩行に近似した運動連鎖を誘導することが明らかとなった.また膝関節モーメントはAFSによって二峰性のうち第1ピークが減少することを明らかにした.AFSの継続的な使用によって正常な運動連鎖を学習し,疼痛軽減効果を得られることが示唆された.