2024 年 40 巻 2 号 p. 100-104
能動義手は上肢切断者の残存した肩関節や肩甲帯の関節運動を,ケーブルを介して手先具や肘継手に伝えることで操作する義手である.能動義手には把持力や使用できる上肢の位置に制限があるものの,細かい作業や過酷な環境でも使用できるといった利点がある.義肢装具士は能動義手の質を担保するためにソケットの適合のみならず,コントロールケーブルの高い効率を追求すべきである.能動義手には日常生活や仕事での活用のみならず,筋電義手の前段階としての役割もある.上肢切断者の可能性を狭めないためにも医師と作業療法士は患者が能動義手を用いてできるだけ多くの作業経験を積めるようにすべきである.