近年,高齢切断者は増加しており,下肢切断と片麻痺が併発することは珍しくない.実用的な歩行の獲得は容易ではないが,残存能力を最大限に高めるためには義足歩行を試みることは必要であるとされる.今回,右大腿切断と左中等度片麻痺を呈した1例において,基本動作練習に加え右大腿義足と左長下肢装具を作製し立位・歩行練習を実施した.その結果,実用的な歩行獲得には至らなかったが,移乗は見守り,起立・立位は軽介助で可能となり,自宅退院に至った.実用的な歩行獲得が困難であったとしても,積極的に立位・歩行練習を実施することは麻痺側下肢の運動機能を向上させ,基本動作や日常生活活動動作の介助量軽減に寄与する可能性がある.