脳卒中による上肢麻痺は日常生活動作の自立度を低下させるため,それに対するリハビリテーションは重要である.Portable Spring Balancer(PSB)などのスリング療法やIntegrated Volitional Electrical Stimulator(IVES)による電気刺激療法の有効性は示されているが,PSBと棘下筋に対するIVESによる電気刺激療法を併用した訓練(併用訓練)の報告は少ない.そこで,脳卒中に起因する急性期の重度上肢麻痺者に対して併用訓練を実践した症例を経験したため,実践報告として報告することとした.併用訓練はX+15日からX+28日の期間に実施され,訓練中は代償動作である肩甲帯挙上動作を抑制し,疼痛は出現しなかった.症例は,上肢麻痺やADL場面での麻痺側上肢の使用量およびその質の改善とADLの介助量軽減を認めた.