抄録
近年, 継手付きプラスチック製下肢装具は, 急速に普及している. 装具の機能が患者の矯正条件に適合することが最も重要であるが, 患者が日常生活に復帰し長期間使用することを考えると, 耐久性など強度評価も必要である. 継手付きP. AFOやP. KAFOの矯正力を左右する継手は, その機構や形状が異なるため, 継手単体に対する統一した試験方法を規定することは困難である. 本稿では, プラスチック製装具の金属製継手の耐久性を, 膝と足関節の生理的な動きを2つの回転軸で実現した歩行模擬試験装置を用いて, P. KAFO全体として組み上げた状態で負荷試験を行い評価した. その試験負荷は装具使用者の歩行データをもとに決定し, 繰り返し負荷試験を300万回行ったが, 継手等に破損変形などは認められなかった. この結果は, 供試継手や装具が一定の耐久性と安全性を有していることを示している.