日本義肢装具学会誌
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短下肢装具の足関節背屈制動に関する一考察
高木 聖森 紀康石原 正博山本 大海川口 学鈴木 重行
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2007 年 23 巻 2 号 p. 163-168

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抄録
片麻痺患者の立位・歩行においてAFOの底屈制動機能が必要不可欠なことは周知のことであり, その報告は多数みられる. 一方, 背屈制動は, 臨床場面において立位・歩行練習を進めていく上で大切な要素の1つであるにもかかわらず, その研究・報告は少ない. 今回, われわれはAFOの背屈制動について検討を要する症例を通じて, 片麻痺患者の歩行の立脚期に及ぼす影響について考察した. 下腿三頭筋や大腿四頭筋の筋トーヌスが低下しており, 下肢支持性が乏しいケースでは, 膝関節固定以前にAFOの足関節背屈制動を第1選択と考え試みる必要がある. 一方, 筋トーヌスが亢進しており下肢支持性が比較的良好なケースでは, 背屈制動はむしろ不要のことが多い. 装具処方においては, 足関節の設定角度と底屈・背屈両方向の制動力が重要な要素であり, 個々の症例に応じて適切に用いる必要がある.
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