抄録
前腕骨ならびに上腕骨顆上部などの外傷性骨折は, 治療過程で回内外制限を経験することがある. 回内外制限の要因としては, 骨折整復後に一定期間ギプス固定されることなどである. 早期に手指のリハビリテーション訓練は開始されるが, 前腕の回内外のリハビリテーション訓練は骨癒合状態を確認しギプス除去後に行われる. この期間中に, 損傷を受けた軟部組織の拘縮, 癒着, そのほか浮腫などの原因により回内外制限が起こる, と考えられる. 入院時のリハビリ訓練時間は限られており上肢は荷重肢ではないため, 他の問題がなければ早期退院になり通院治療となる. 限られた時間の中でセラピストが徒手訓練で獲得した回旋角度を, 入院中から自宅での自主練習まで考慮に入れ, より目標とする回旋角度を安定して獲得できるような前腕回旋装具を開発した. 本装具は機能解剖学的な前腕回旋軸に, 安定した回旋力を与えることを基本としている. その構造, 使用方法などを症例報告を含め報告する.