女性心身医学
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乳幼児健診に来所した母親のメンタルヘルスに及ぼす因子の検討 : 対象児の年齢との関連
倉林 しのぶ太田 晶子松岡 治子常盤 洋子竹内 一夫
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2005 年 10 巻 3 号 p. 181-186

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抄録
妊娠, 産褥早期のマタニティブルーに関する研究報告は多く, 妊婦あるいは, 乳児をもつ母親への支援の重要性が指摘されているが, 1歳以上の幼児をもつ母親のメンタルヘルスに関しては, 今まで重視されてこなかった.今回, 3カ月, 6カ月, 1歳, 1歳6カ月, 2歳, 3歳の児をもつ母親へのアンケートをもとに, 母親の基本属性と児の年齢から母親のメンタルヘルスの評価を行った.その結果, 出生順位は第一子, 専業主婦で若年層の母親のうつ出現率が高く, いずれの条件下においても, 児年齢が2歳から3歳の時期の発症率は2.3-2.6%であり, 0歳から満1歳までの1.0%前後の発症率を上回ることがわかった.しかしながら, 2歳という年齢は法定健診からはずれており, 市町村により健診を行っている場合もあるが, 多くの場合, 健診のない空白期間といえる.そのため, この時期の母親のメンタルヘルスチェックは困難であり, 育児ストレスを抱えたまま孤立している専業主婦層の存在が懸念される.本論文では, 2歳児をもつ母親へのメンタルヘルスサポートの必要性が示唆された.今後は乳幼児健診の中で, また, 家庭訪問や育児相談を通じて, 幼児をもつ母親のメンタルヘルスに対する対策を検討していくことが必要である.
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© 2005 一般社団法人 日本女性心身医学会
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