女性心身医学
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女子大学生におけるアロマ足浴後の生理的及び心理的変化の基礎的検討
伊波 華金城 睦子砂川 洋子
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2007 年 12 巻 1-2 号 p. 336-345

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抄録
本研究は,アロマオイルを用いた足浴後の変化を生理的および心理的指標を用いて比較検討し,月経前随伴症状(PMS)に対するセルフケア指導への基礎資料を得ることを目的として行った.健康な女子大学生20名(平均年齢21.4±1.0歳)を対象とし,アロマ群(レモン精油滴下),コントロール群(温湯のみ)各10名に対して15分間の足浴を行った.足浴前後において体温,脈拍,血圧,及び,皮膚表面温度(手部・足部)を測定し,リラックス尺度7項目と月経周期に伴う女性の不定愁訴の程度を測定するMoos Menstrual Distress Questionnaire (MDQ) 47項目による評価を行った.足浴前後の生理的変化は,脈拍,収縮期血圧では,両群とも足浴直後有意に低下し, 60分後まで安定していた.足部の皮膚表面温度では,両群とも足浴直後に有意な上昇がみられ, 45分から60分後まで足浴前に比べ皮膚温は高い値を維持していた.他方,足浴前後の心理的変化は,リラックス尺度の「リラックスしている」の項目では,アロマ群,及びコントロール群ともに足浴直後の得点は増加し,足浴前に比べて有意差が認められた.さらに「爽快感がある」の項目では,足浴30分後以後,アロマ群において効果が持続しコントロール群に比べ各測定時における得点が有意に高かった. MDQの合計総得点では,両群ともに足浴後の得点は有意に低下したが,アロマ群はコントロール群に比べ得点低下が大きく両群間に有意差が認められた.各カテゴリー別では,「痛み」,「集中力の低下」,及び「気分の高揚」においてアロマ足浴の効果が著明で足浴後コントロール群との間に有意差を認めた.以上のことより,アロマオイルを用いた足浴は温湯のみの足浴に比べると,爽快感やリラックス感が得られ, PMSの症状に伴う痛みの緩和や不快な気分の軽減など精神的な安定感を得るのに役立つことが示唆された.
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© 2007 一般社団法人 日本女性心身医学会
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