女性心身医学
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乳幼児を持つ母親と父親のメンタルヘルス : 夫婦愛着と自尊感情との関連
大関 信子大井 けい子佐藤 愛
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2014 年 19 巻 2 号 p. 189-196

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抄録

【目的】本研究は,乳幼児を持つ母親と父親のメンタルヘルス状態と夫婦愛着,及び自尊感情との関連を明らかにすることを目的とした.本研究の意義は,母親のメンタルヘルス向上の支援策の検討に役立てることである.【方法】簡易サンプル法を用いた無記名自己記入式調査用紙を用いた横断的研究で,A県内在住で6歳未満の子供を持つ父母552組に調査票を配布し郵送にて回収した.調査内容は,社会的背景の他にメンタルヘルスの測定には「精神健康度調査票」(General Health Questionnaires:以下GHQ12),夫婦愛着を測るために「夫婦関係尺度」(Quality Marriage Index:以下QMI),自尊感情を測るため「自尊感情尺度」(Self Esteem Scale:以下SES)を用いた.統計分析は,記述統計や重回帰分析を用いた.【結果】母親のGHQ得点とQMI得点,SES得点とに有意な相関関係が見られた.「父親の子育てに満足」の要因は母親のQMI得点に最も関連していた.母親のQMI得点は母親のSES得点に最も関連し,このSES得点は母親のGHQ得点に最も関連していた.父親にも同様な結果が得られ,「母親の子育てに満足」の要因が父親のQMI得点,SES得点そしてGHQ得点に有意な関連がみられた.【考察】母親,父親とも夫婦愛着が直接メンタルヘルスに関連するのでなく,自尊感情を介して影響することが明らかになった.父親の育児参加は,母親が認知する夫婦愛着を促進し,夫婦愛着が母親の自尊感情を高め,結果的に母親のメンタルヘルス向上に関連するとの示唆を得た.

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© 2014 一般社団法人 日本女性心身医学会
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