抄録
本研究の目的は,35歳以上の日本人初産婦の産後疲労における時間経過と睡眠の影響を検討することである.単胎児を出産した21名の母親を対象に,産後4日目,産後1か月時,産後2か月時,産後4か月時に縦断調査を実施した.対象者の選定には便宜的抽出法を用いた.母親の睡眠状態の測定にはアクティグラフ,疲労の程度の測定には質問紙を用いた.産後1か月時,産後2か月時,産後4か月時のデータを用いて,時間経過,及び睡眠状態を表す各指標(総睡眠時間,睡眠効率,入眠後の全覚醒時間,覚醒エピソード)と産後疲労との関連性を調べた.その結果,総睡眠時間が短いと疲労の程度が有意に高くなることが明らかになった.看護職者やその他の医療者は,母親やその家族に対して睡眠の重要性に関する情報提供を行う必要があろう.また,産後疲労の蓄積を特定するために,看護職者は,家庭訪問や医療施設での健康診査時を活用して,母親の睡眠状況を査定することも必要である.