女性心身医学
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研究報告
総合周産期母子医療センターにおける継続看護連絡票を用いた他職種連携 ~心身医学的検討を中心に~
添田 わかな望月 善子茂木 絵美深澤 一雄
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2017 年 22 巻 3 号 p. 285-291

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抄録

【目的】本研究は産後の継続看護を必要とする際の「継続看護連絡票」を用いて退院時の心理的要因を可視化できるか検討した.【方法】平成27年3月~平成28年4月まで当院で分娩管理した妊婦634例のうち,継続看護連絡票を用いて訪問した99例について検討した.継続看護となる要因を児の問題,母の身体的,社会的,心理的問題に分類し比較検討を行った.【結果】心理的要因43例の中で,初産による育児不安(33例)が最も多く,NICU入室のための母児分離不安(3例),児の奇形などの不安,子供への関心が低いなどが続いた.児の問題での継続看護は41例,母の問題では身体的要因55例,社会的要因35例であった.すべての事例において心理的要因のみで継続看護となるものはなく,様々な要因が重複していた.【考察】心理的要因のみで「継続看護連絡票」が作成された例が今回なかったことは,独立した記載欄が存在しないことも一因である.当センターでは他科の医師や助産師,看護師,メディカルソーシャルワーカーと連携しチームで種々の視点から課題を検討し心理的要因に対し援助している.身体的,社会的要因がある者には心理的要因もあるということを念頭におくことで産後のメンタルヘルスケアを充実できると考える.【結論】「継続看護連絡票」に心理的要因である「育児不安」の有無を尋ねる項目を追加することにより地域の保健師に詳細な連絡ができると提案する.今後は行政の切れ目のない「妊娠,子育て支援」体制が整えられつつあるが育児のスタートから地域との円滑な連携が期待される.

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© 2017 一般社団法人 日本女性心身医学会
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