女性心身医学
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原著論文
不妊女性が経験するソース別Negative social interactionsおよびPositive social interactionsの抑うつへの影響
秋月 百合甲斐 一郎
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2020 年 25 巻 2 号 p. 103-114

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抄録

【目的】不妊治療女性患者(以下,不妊女性)が経験するNegative social interactions(NSI)およびPositive social interactions(PSI)の抑うつへの影響を明らかにすることを目的とする.本研究では,概念整理の結果,NSIを「一方の個人に否定的・非支援的との認知をもたらすような他方の個人の言動や態度を含む社会的相互作用」と捉え,同様に,PSIを「一方の個人に肯定的・支援的との認知をもたらすような他方の個人の言動や態度を含む社会的相互作用」と捉える.【方法】2010~2011年,関東圏内の医療機関に通院する不妊女性300名を対象に,質問紙調査を実施した.ソース別NSI尺度(夫NSI,実親NSI,夫の両親NSI,友人・その他NSI)およびソース別PSI尺度(夫PSI,実親PSI,夫の両親PSI,友人・その他PSI)を説明変数とし,CES-D(The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)を従属変数として重回帰分析を行った.【結果】206名から回答を得た(回収率68.7%).重回帰分析の結果,NSIにおいては,実親をのぞく友人・その他,夫,夫の両親のNSIがCES-Dと有意な関連を認め,NSI経験が高い人ほど抑うつが高い傾向がみられた.一方PSIでは,いずれのソースにおいてもPSIとCES-Dとの有意な関連は認められなかった.また,不妊女性のCES-Dに対する夫NSIと夫の両親NSIの交互作用効果が認められ,夫NSIおよび夫の両親NSIともに高い女性がとりわけ高い抑うつを示した.【考察】本結果から,不妊女性の抑うつに対するNSIとPSIの影響の仕方は異なり,PSIは不妊女性の抑うつに大きな影響を与えないが,NSIは彼らの抑うつを高める要因となることが示唆され,複数のソースからのNSIを経験すること,とりわけ夫と夫の両親からのNSIを経験することは,彼らの抑うつの悪化を増幅させる可能性が示唆された.周囲の人々が不妊女性とかかわる際には,ソーシャルサポートを提供するだけでなくNSIを引き起こさないようかかわることの重要性が示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本女性心身医学会
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