女性心身医学
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原著
身体運動が若年成人女性の熱放散と睡眠に与える効果
伏見 もも飯島 竜星木山 水月久保川 媛加菅原 このみ高倉 麻里子野口 史織金野 倫子有竹(岡田) 清夏
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2024 年 28 巻 3 号 p. 337-348

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抄録

【目的】女性の月経周期に伴う体温リズムは睡眠と密接に関連しており,黄体期では眠気が強い一方,睡眠の質が低下することが報告されている.月経周期に伴う睡眠障害は,女性が社会生活を送る上での大きな問題である.本研究では,身体運動による熱放散の促進に着目し,女性の卵胞期・黄体期における熱放散と睡眠構造の生理的特性の検討とともに,身体運動による体温,熱放散,夜間睡眠,主観的評価への効果を検証した.本研究は,埼玉県立大学倫理委員会の承認を得て行われた.【方法】若年成人女性12名を対象に卵胞期非運動条件,卵胞期運動条件,黄体期非運動条件,黄体期運動条件の4条件にて計4日間の実験を実施した.運動条件では日中に約40分間のレジスタンストレーニングを実施後,夜間睡眠脳波を測定した.実験中は体温を同時計測し,遠位皮膚温と近位皮膚温の温度差から熱放散且つ入眠指標である遠位-近位皮膚温勾配DPG(distal-proximal skin temperature gradient)を算出した.【結果】有害事象の認められなかった9名のデータ(合計36データ)を解析に使用した.卵胞期・黄体期のいずれにおいてもレジスタンストレーニングによって熱放散が促進され,夜間睡眠中の深睡眠が増加した.さらに深睡眠の夜間就床中における時間的分布を調べたところ,卵胞期では深睡眠が夜間徐々に減少していくのに対し,黄体期では睡眠の中後半の時点でも深睡眠の出現が非運動時よりも高く持続し,この深睡眠の持続と同じタイミングにおいて熱放散も促進されていた.【結論】レジスタンストレーニングは女性の卵胞期において深睡眠を増加させるだけでなく,体温が高く体温リズムに減り張りのない状態である黄体期においても熱放散を促進し,夜間の深睡眠を増加させる可能性がある.

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© 2024 一般社団法人 日本女性心身医学会
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