抄録
一般的な精神症状や月経前症候群様症状と出生季節・年齢などとの関連は未だ不明な点も多い.今回,女性心身症患者において,ある種の精神症状や月経前症候群様症状と出生季節との関連を年齢別にretrospectiveに検討した.大分医科大学付属病院に心身症で受診した女性患者のうちCornell Medical Index (CMI), Zungうつ尺度などが得られた135人の女性患者を対象とした. CMIから選択した睡眠障害や月経時の気分障害などの数項目,うつ尺度点数,患者基本データ,さらにDSM-IVに案として記載されている月経前症候群様症状について出生季節や年齢の影響を検討した.患者は出生季節により春期(3〜5月),夏期(6〜8月),秋期(9〜11月),冬期(12〜2月)の4群に分けて検討した.30歳未満の女性患者では,月経時にイライラ感のある女性は春期出生群で秋期出生群よりも有意に多かった(84.6% vs. 31.8%, p<0.01)が,40歳以上の女性患者ではこのような結果を認めなかった.不眠を訴える女性が40歳以上では春期出生群で秋期出生群より多い傾向があったが有意ではなかった(81.8% vs.16.7%,p=0.07).また,30歳代では患者が訴える月経前症候群様症状の数が他の年齢よりも多かった(30歳未満:4.4±1.7,30歳以上40歳未満:7.7±1.4,40歳以上:3.5±1.5,p<0.05).以上の結果より,月経時のイライラ感や不眠などの症状には出生季節や年齢が関係する可能性のあることが示唆された.