女性心身医学
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成熟期女性のライフスタイルとPMSとの関連についての検討
森 和代川瀬 良美吉崎 晶子和田 充弘松本 清一
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2004 年 9 巻 2 号 p. 134-145

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抄録

本研究は,わが国における成熟期女性のPMS(premenstrual syndrome)とライフスタイルとの関連を検討することを目的とした.141名の成熟期女性を対象とし,PMSメモリーを用いた1月経周期間の心身の諸症状に関する即時的記録と,日常生活行動質問紙調査を材料として分析を行った.食行動,運動,ストレス対処行動,社会的役割,ストレス経験に関する日常生活行動の有無において,先行研究で明らかにされた月経前の3主要症状(イライラ,怒りやすい,乳房が張る)およびPMSの症状群・PEMS(perimenstrual syndrome)の症状群の群間差を検討した結果,適正な食行動群とそうでない群の間にPMS症状をはじめとする月経随伴症状に群間差がみられ,適正な食行動に関する健康教育の重要性が示唆された.また,入浴習慣がある群は,月経前の乳房の張り症状が有意に少ないことが示された.さらに職業や主婦といった役割に対してやりがいを強く感じている群は,下腹痛を中心とするPEMS症状群が多いことが示された.意欲的に役割を遂行しようとすることから過重負担が生じるためではないかと想定される.これに対して,子育てを楽しいと感じられる群は,イライラを中心とする月経中のPMS症状群が少ないことが示された.大きなストレス体験がある群は,下腹痛を中心とするPEMS症状群が多い傾向があることが示された.また,子育て上の問題をもつ群は,怒りやすさをはじめとするPMS症状群が多いことが示された.PMS症状を検討する上でストレスヘの考慮が重要であることが示唆された.対象者の出産の有無,職業の有無,年代などの属性ごとに,生活上の役割やストレスに関連する項目と,PMS関連指標との関連を検討した結果,生活満足感や負視感が症状と関連を示し,認知的要因の関与が高いことが示唆された.また,ストレス対処行動が介在要因となることが示唆された.本結果はPMS症状と日常生活行動の関連を示し,健康教育や,支援を検討するための資料を提供したといえる.

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© 2004 一般社団法人 日本女性心身医学会
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