日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ホウ素欠乏耐性ギンドロ培養細胞におけるペクチンメチルエステラーゼ活性
*掛川 弘一石井 忠松永 俊朗
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p. 106

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抄録
 ホウ素(B)は高等植物の微量必須元素であり、その欠乏は成長や形態形成に著しい影響を及ぼす。我々はこれまでに低ホウ素条件下(5 μM、0 μM)で成長可能なギンドロ培養細胞系 (1/20-B、0-B) を確立し、B欠乏耐性機構について研究を行ってきた。その結果、1/20-B細胞では細胞壁中のBによるペクチン間の架橋の減少をカルシウム(Ca)による架橋の形成によって補っており、架橋の形成を調節するペクチンメチルエステラーゼ(PME)活性の上昇が耐性機構に重要であることが示唆された。今回、我々はPME活性と培地中のB量との関連を調べるために1/20-B、0-B、及び100 μMのBを含むMS培地に移植した1/20-B細胞 (1/20-BR)のPME活性を耐性を持たない1/1-B細胞と比較した。継代後14日目のPME活性は1/20-B細胞では1/1-B細胞の約1.6倍であった。細胞壁中のCa量が1/1-Bよりも少なく、架橋形成が耐性に関与していないと考えられる0-B細胞でも同程度の活性が検出されたことからB欠乏によってPME活性が誘導される可能性が示唆された。一方、1/20-BR細胞では継代回数の増加に伴い活性が低下し、5回目の継代では1/1-Bの1.2倍であった。しかし、活性の低下が遅いことからPMEの誘導に対するBの関与は間接的なものであると考えられた。
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© 2003 日本植物生理学会
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