日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナのシスタチオニン γ-シンターゼ遺伝子におけるmRNA安定性の自己制御 : in vitro系でのRNA分解中間体の解析
*櫻井 玲子西村 良子尾之内 均内藤 哲
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p. 111

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抄録
シスタチオニン γ-シンターゼ (CGS) は、メチオニン生合成において、鍵となる反応を触媒している酵素である。シロイヌナズナのCGS遺伝子はmRNAの安定性の段階で制御されている。この制御には、CGS第1エキソン内の十数アミノ酸からなる領域 (MTO1領域) が必須であることが示されており、CGS第1エキソンのアミノ酸配列を植物間で比較するとMTO1領域を含む38アミノ酸において高い相同性を示した(保存領域)。また、CGS第1エキソンのポリペプチドが、自身のmRNAに対しシスに働いていることから、この制御は翻訳中に行われていると考えられる。小麦胚芽を用いたin vitro翻訳系において、CGS第1エキソンを持ったmRNAを翻訳反応させると、メチオニンの次の代謝産物であるS-アデノシルメチオニン (SAM) に応答して全長より300-400塩基短いRNAが検出された。同様の短いRNAはin vivoでも見られている。今回、in vitro翻訳系を用いて、短いRNAの解析を行った。Primer伸長法により切断個所を決定したところ、MTO1領域近傍にこの RNAの5’末端が検出された。また、in vitro翻訳系を用いてこの制御に必要な領域をレポーター活性により調べたところ、CGS第1エキソン内の保存領域が必要であることが示された。現在短いRNA の生成に関わる領域の同定を行っている。
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© 2003 日本植物生理学会
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