抄録
植物におけるメチオニン生合成の鍵段階で働く酵素であるシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,メチオニン添加に応答してmRNAの安定性の段階でフィードバック制御を受ける.また,この制御機構においてCGS遺伝子の第1エキソン領域が必要十分な領域であることが明らかにされている.
この第1エキソンにみられる制御機構に対してトランスに働く因子を遺伝学的に同定することを目的として,CGS遺伝子の第1エキソンとGFP遺伝子を繋ぎ,これをCaMV 35Sプロモーターの制御下においた融合遺伝子を持つトランスジェニック・シロイヌナズナに変異誘起処理を行った.50,000株のM2植物をメチオニンを添加した培地で生育させたところ,メチオニン添加に応答せずに高いGFP蛍光を示し,実際に導入遺伝子の発現量が増加している9株の候補株を得た.さらにそのうちの2株はCGS遺伝子の発現量も増加していた.得られた候補株がメチオニン生合成に関わる変異株である可能性も否定できないため,現在は突然変異株における遊離アミノ酸の蓄積量の解析を行っている.