日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

シスタチオニン γ-シンターゼ遺伝子におけるmRNA安定性の自己制御:in vitro系での翻訳中間体の解析
*中本 真理西村 良子尾之内 均内藤 哲
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 110

詳細
抄録
シスタチオニン γ-シンターゼ(CGS)は、メチオニン生合成において、鍵となる反応を触媒している重要な酵素である。in vitro翻訳系を用いた研究からシロイヌナズナのCGS遺伝子は、メチオニンの次の代謝産物であるS-アデノシルメチオニン(SAM)により、mRNAの安定性の段階で負に制御されていると考えられる。この制御機構には、CGS第1エキソン内の十数アミノ酸からなる領域(MTO1領域)が必須であることが示されている。また、CGS第1エキソンのポリペプチドが、自身のmRNAに対してシスに働くことから、この制御は翻訳中に行われていると考えられる。in vitro翻訳系において、CGS第1エキソンを持ったmRNAを翻訳反応させると、SAMに応答してmRNAの切断が誘導された。そこで本研究では、in vitroで合成したGSTタグ付きのCGS第1エキソンを持つmRNAをin vitro翻訳し、GST抗体を用いてウエスタン解析を行った。その結果、SAMを加えた場合では全長のタンパク質が減少し、特異的なバンドが2つ検出された。分子量の小さいペプチドは融合タンパクのN末端からMTO1領域近傍までを持ち、大きいものはこれにRNAが付いたものであることがわかった。この結果から、SAM存在下ではMTO1領域近傍で翻訳が停止し、ポリペプチドにtRNAが付いたままになっていると考えている。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top