抄録
石川県西部に位置する小松平野には,新旧の沿岸州で隔てられた海跡湖である加賀三湖がみられる.加賀三湖周辺ではこれまで考古学・歴史学の視点からの詳細な検討が行われており,縄文時代以降の海跡湖周辺の水域と人々が深く関わってきた痕跡が見出されてきた.しかし,加賀三湖の成因や縄文海進に伴った水域の変化に関する具体的な資料は乏しいといわざるを得ない.今回,発表者らは北陸新幹線の伸延に伴って行われた数多くの地質ボーリング,および加賀三湖周辺のボーリングコアを観察する機会を得た.本報告では,これらの試料・資料を用いて,層相観察,14C代測定,粒度分析を実施し,縄文海進期以降の小松平野における海跡湖,沿岸州の発達を検討した結果を報告する.