抄録
開花後1か月および収穫期のモモ果実よりcDNAライブラリーを作製し、ランダムにピックアップした約1,500クローンのマイクロアレイによる発現解析を行った。ターゲットとして開花後10日、1ヶ月、2ヶ月半、収穫期の果実および若い葉より精製したmRNAを用い、果実発達に伴う顕著な発現量の変化がみられる遺伝子を探索した。1割程度で変動がみられ、大きいものでシグナル強度で2桁の変動があった。i) 減少していくもの:ポリフェノールオキシダーゼ、プロテアーゼインヒビター、スーパーオキシドジスムターゼ等; ii) 増大していくもの:抗菌性ペプチドホモログ、インベルターゼインヒビター、ACCオキシダーゼ、ペクチンリアーゼ等; iii) 初期と収穫期で発現が強いもの:転写因子の一種。i) に属するPF10056は28アミノ酸のほぼ完全な繰り返しを4回もつタンパク質をコードしており、開花後2ヶ月半までは発現量も非常に多い。野生種タバコ由来のエクステンシンの一種と30%程度の相同性がみられたが、機能に興味が持たれる。