日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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UVB感受性の異なるイネ品種間におけるUVB誘導DNA損傷[(6-4)光産物]の光修復活性について
*宗村 郁子日出間 純熊谷 忠
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p. 121

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抄録
紫外線はDNAにシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)やピリミジン(6-4)ピリミドン二量体[(6-4) 光産物]を作り、突然変異や致死を引き起こす。これらの損傷に対し生物はさまざまな修復機構をもつ。植物においては、UVA/Blue光を利用してCPD及び(6-4)光産物を特異的に修復する酵素反応が主要となっている。イネにおいては、UVB感受性品種(農林1号)は、UVB抵抗性品種(ササニシキ)と比較し、CPD光修復能が低下しており、それがUVB抵抗性を左右する一因子である可能性がこれまで示されている。しかしながら、もう一つのDNA損傷である(6-4)光産物の光修復活性については不明である。本研究では、UVB感受性の異なる二品種を用いて、UVBによる(6-4)光産物の生成とその光修復能について比較解析を行った。その結果、両品種のUVB照射による(6-4)光産物の生成に対するdose response curveは差が認められなかった。しかし、UVA/Blue光による(6-4)光産物の修復速度は、UVB抵抗性品種では感受性品種に比べ遅いことが判った。これらのことから、この二品種間におけるUVB感受性の違いは、CPD光修復活性に加えて(6-4)光修復酵素の活性とも関係している可能性が示された。
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© 2003 日本植物生理学会
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