日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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胚特異的遺伝子C-ABI3の発現制御に関与するシス配列の同定とトランス因子の単離
*岩井 美穂高 碩敏塩田 肇佐藤 忍鎌田 博
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p. 19

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抄録
シロイヌナズナABI3は胚発生初期から発現する転写制御因子の一つであるが、この遺伝子の発現制御機構は未だ解明されていない。我々はこれまでにABI3相同遺伝子C-ABI3をニンジンより単離し、その発現がABI3と同様に胚発生初期から見られることを確認してきた。今回は、胚発生初期における遺伝子発現制御機構の解明を目的とし、ニンジン不定胚形成系を用いてC-ABI3の発現制御機構を解析した。まず、C-ABI3のプロモーター領域を単離し、胚特異的遺伝子発現に関与する新規のシス領域Carrot Embryonic Element 1(CEE1)を同定した。CEE1は形質転換ニンジン不定胚およびシロイヌナズナ種子胚においてGUS遺伝子の発現を誘導した。また、ゲルシフトアッセイの結果、CEE1には複数のニンジンEmbryogenic Cell核タンパク質が結合することが示唆された。そこで、イーストワンハイブリッド法を用いてCEE1結合因子の探索を行い、7種類の遺伝子を単離した。これらはすべてAP2/EREBP領域を持つ転写制御因子であった。各々のCEE1 結合因子について発現解析を行ったところ、いずれもニンジン不定胚・種子胚において発現する遺伝子であったが、これらの遺伝子の発現特性には差異が認められた。このことから、7種のCEE1 結合因子はそれぞれ特有の機能を持つ胚発生制御因子である可能性が示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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