抄録
シロイヌナズナにおいては、胚形成に関わる主要な転写制御因子としてABI3、LEC1、FUS3が知られており、その欠損変異株ではlate embryogenesis abundant(LEA)タンパク質を含む貯蔵タンパク質が減少している。我々は、ニンジンからLEAタンパク質に分類されるembryogenic cell proteins(ECPs)を同定し、その対応遺伝子(DcECP31、DcECP63)を単離してきた。これらはABI3のニンジンホモログであるC-ABI3によって発現制御されており、種子発達後期に発現していることが明らかとなっている。しかし、ニンジンにおいては、FUS3ホモログが単離されておらず、C-ABI3、C-LEC1遺伝子欠損変異株も得られていない。そこで、DcECP31およびDcECP63のシロイヌナズナホモログAtECP31、AtECP63を単離し、その発現解析を進めている。今回は、ABI3、LEC1、FUS3の欠損変異株や過剰発現体を用い、AtECP31およびAtECP63の関係の発現を制御している因子が各々異なることを明らかにしたので報告する。