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Heliobacterium modesticaldum 膜標品中のI型反応中心の示すX-band( 9 GHz)のESRスペクトル及びそのkineticsを測定した。植物の光化学系Iの反応中心クロロフィルP700+、受容体キノンA1-はそれぞれg=2領域に8-10 Gの線幅を持つブロードなESR信号として定常状態では観測される。しかし光照射直後短時間のESR信号はラジカル対(P700+A1-)がスピン相互作用することによって低磁場側よりA/E/A(E:放射,A:吸収)の特徴的なスピン分極スペクトルを示す。今回へリオバクテリアでP800+のtransient ESR 測定を行ったところP700+と同様なスピン分極スペクトルは観測されたがP700+A1SUP>-と異なるE/A/Eのスペクトルを示すことが分かった。更に、ジチオナイト付加、11.5Kで測定を行ったところflash後10μsの短時間領域に500 Gの広範囲にわたってのスピン相互作用スペクトルが観測できた。スペクトル線形から、このスペクトルがFx由来であることが強く示唆される。これまで100 G以上にわたる広範囲でのESRスピン分極信号の測定は例がなく現在計算解析を行っている。