2013 年 4 巻 2 号 p. 128-132
敗血症やDICなどの病態において,炎症反応を促進・増幅させる物質としてhigh mobility group box 1(HMGB1)が深く関与していることが知られている。現在,敗血症性ショックにおいては,ポリミキシンB固定化カラムによる直接血液灌流法(PMX-DHP)によるエンドトキシン吸着が行われ有効な治療効果が報告されている。本療法施行によるHMGB1制御に関しては,ポリミキシンB固定化カラム(PMXカラム)による直接的なHMGB1の吸着を示唆する報告や吸着しないとする報告などさまざまである。そこで,われわれは,本療法におけるHMGB1の経時的変化とPMXカラム前後の濃度変化について検討を行った。その結果,HMGB1濃度に経時間変化は認められず,カラム前後のHMGB1濃度にも変化は認められなかった。さらにin vitro実験でもカラム依存的な経時的変化は認められなかった。以上より,PMX-DHPに直接的なHMGB1除去作用を期待することは不適当と考える。