日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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二酸化窒素暴露により植物葉で生成するニトロチロシンに関する研究
*高橋 美佐重藤 潤森川 弘道
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p. 213

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抄録
植物は二酸化窒素(NO2)を吸収し、アミノ有機化することが知られているが、我々は、取り込まれた約30%のNO2由来の窒素は還元態窒素(ケールダール窒素)および無機窒素でもない未知の窒素化合物になることを明らかにしている。この未知窒素化合物の候補のひとつにニトロ化合物がある。NO2はオゾンまたは酸素存在化では、極めて反応性に富み、脂肪族、芳香族炭素化合物をニトロ化することが知られている。そこで、本研究では抗ニトロチロシン抗体を用いてNO2暴露した植物葉中のニトロチロシンについて調査を行った。
 タバコ(Nicotiana tabacum cv. Xanthi)を4 ppm NO2で8時間暴露し、植物葉から粗抽出液を調整し、SDS PAGE あるいは2-D PAGEで分離した。抗ニトロチロシン抗体を用いてウェスタンブロット法によりチロシンがニトロ化されているタンパク質を調べた。その結果、抗ニトロチロシン抗体と反応する数個のタンパク質を検出した。それらのタンパク質スポットの同定を行ったところ、PR (pathogenesis-related) タンパク質であることを明らかにしている。さらに調査を行ったところ、新たに抗ニトロチロシン抗体と反応する数個のスポットを検出した。現在、それらのタンパク質のニトロ化部位の質量分析による解析を行っている。
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© 2003 日本植物生理学会
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