抄録
日本型イネNipponbare及びインド型イネKasalathに由来する98系統のBILsを用いた解析より、第二染色体上のマーカーC777近傍に主稈の穂重量を規定しているQTL (Pnw1) が統計学的に検出された。Pnw1はKasalathの対立遺伝子が穂重を増加させる効果があることが判明した。Pnw1を含む約50cMの領域のみがKasalath由来の染色体に置換された系統C-22を選抜し、ガラス室内にて基肥窒素処理を行い育成した。遺伝背景であるKoshihikariに比較して、C-22の個体あたりの穂重及び穂数は最大で約30%増加していた。これより、Pnw1がKasalath由来の染色体に置換された領域に存在することが確認された。本研究ではPnw1遺伝子の同定を目的として、高密度連鎖地図の作製並びに詳細な連鎖解析を行った。
Pnw1近傍がヘテロ接合体である系統の自殖後代200個体を用いて、新たに約20個のマーカーを設定し、連鎖地図を作製した。また、その自殖後代3385個体より、マーカーC777とC10005間の組み換え個体177個体を選抜した。それらの組み換え個体を野外にて土耕法により育成し、完熟期に穂数並びに穂重の測定を行った。現在、組み換え個体の遺伝子型を決定するとともに、詳細な連鎖解析を行っている。