抄録
シロイヌナズナのDREB2Aタンパク質は、乾燥、塩ストレス応答性の遺伝子発現に関与する転写因子であり、ストレス誘導性遺伝子のプロモーター領域に存在するDRE/CRT配列に特異的に結合する。しかしながら、DREB2Aをシロイヌナズナで過剰発現させても、ターゲットと予想される遺伝子の発現はほとんど変化しない。従ってDREB2Aタンパク質の活性化には、リン酸化のような翻訳後の修飾が必要とされると考えられる。我々はDREB2Aの活性化メカニズムを解明するために、シロイヌナズナT87培養細胞のプロトプラストを用いたトランスアクティベーション実験により、DREB2Aタンパク質の各領域の機能解析を詳細に行い、転写活性化ドメインはアミノ酸253-335の領域に存在すること、DREB2Aタンパク質のアミノ酸135-165や318-335の領域を削除するとレポーター遺伝子の活性が向上することを明らかにしている。特に、アミノ酸318-335の領域を削除するとレポーター遺伝子活性の著しい向上が見られるので、この領域はDREB2Aタンパク質の活性化において重要な役割を担っていると思われる。DREB2Aタンパク質のターゲット遺伝子を特定するため、活性型DREB2Aデリーション変異体を過剰発現させた形質転換シロイヌナズナを用いてマイクロアレイ解析を行った。