日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ミヤコグサのデオキシイソフラボノイド生合成系酵素遺伝子の構造
*嶋田 典基青木 俊夫佐藤 修正金子 貴一田畑 哲之綾部 真一
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p. 288

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抄録
マメ科植物に特徴的な 5-デオキシイソフラボノイドは,対病原微生物活性物質 (ファイトアレキシン) や根粒菌との共生シグナルとして,マメ科の環境適応にきわめて重要な役割を担っている.我々は,5-デオキシイソフラボノイドの生合成機構・生態生理機能および分子進化について,モデルマメ科ミヤコグサを用いて研究を行っている.今回,各種フラボノイドの共通前駆体 (2S)-フラバノンを与えるカルコン異性化酵素 (CHI) を解析し,6'-ヒドロキシカルコンのみを基質とする非マメ科型 CHI (type I) と 6'-デオキシカルコンに対する触媒活性も持つマメ科型 (type II) CHI cDNA を同一植物より初めてクローニングした.得られた cDNA 配列を用いて,ミヤコグサ TAC ライブラリーをスクリーニングしたところ,type I および type II CHI 遺伝子が第 5 染色体上わずか15 kb の範囲に存在することがわかった.このことは局所的な遺伝子重複が CHI の分子進化に重要な役割を果たしたことを示している.また,マメ科に特徴的なイソフラボノイド骨格形成と,ファイトアレキシンに見られる4'-メトキシ構造をつくる連続した反応を触媒する P450 とメチル基転移酵素の遺伝子についても報告する.
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© 2003 日本植物生理学会
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