日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ラン藻、Anabaena sp. PCC 7120の酸素センサータンパク質の生化学的解析
*成川 礼宮武 秀行金 成勲澤井 仁美汲田 英之城 宣嗣三木 邦夫池内 昌彦大森 正之
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p. 227

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抄録
 ラン藻 Anabaena sp. PCC 7120は、窒素飢餓時にヘテロシスト (異形細胞) を分化させて、窒素固定を行うようになる。窒素固定を行うニトロゲナーゼは酸素によって不活性化されてしまうため、ヘテロシスト内は嫌気状態に保たれる。このような生理現象には、酸素の感知が重要な役割を果たすと考えられる。バクテリアの酸素センサーとして、根粒菌のFixLや大腸菌のDOSといったタンパク質のヘムPASドメインが知られている。我々は、Anabaena 7120のゲノム解析よりヘムPASドメインを含むalr2428という遺伝子を検出し、このドメインを含むタンパク質をCyanobacterial oxygen sensor (COS) と名付けた。このヘムPASドメインに関して、ヒスタグ融合タンパク質として大腸菌で発現、精製した。精製タンパク質は、ヘム結合タンパク質に特有の吸収スペクトルを示した。このタンパク質に関して、酸化型、還元型、酸素結合型、一酸化炭素結合型のそれぞれの状態を作り、吸収スペクトル、ラマンスペクトルを測定した。これらは、大腸菌のDOSに非常によく似ており、酸化型、還元型において六配位になっていたが、DOSの配位残基に該当するアミノ酸は、一次配列では保存されていなかった。可能な配位残基について議論する。
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© 2003 日本植物生理学会
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