日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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マングローブ植物Bruguiera sexangulaの解糖系酵素の活性調節
*鈴木 美帆子橋岡 文三村 徹郎芦原 坦
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p. 24

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抄録
 ロッカクヒルギBruguiera sexangulaの液体培養細胞は、マングローブ植物から誘導された唯一の培養細胞系で耐塩性を保持している。この細胞は、細胞質からの塩の排除や、適合溶質の生成のために、一般の細胞より多量のATPをつかうものと思われる。10日目の細胞を150 mM NaClを含む改変Thompsonのアミノ酸培地に移すと呼吸の増加が確認された。この時、解糖系中間産物の変動を調べた結果、フルクトース6リン酸(F6P) の減少とフルクトース1,6ビスリン酸(F1,6BP)以降の中間産物の増加が確認された。そこで、F6PからF1,6BPを触媒するATP依存ホスホフルクトキナーゼ(PFK)か、植物に特有な、この反応のバイパス経路であるピロリン酸:フルクトース-6-Pホスホトランスフェラーゼ(PFP)のステップでの活性化が示唆された。ロッカクヒルギ細胞から精製されたPFKとPFPの最大速度は、NaClにより大きくなり、PFKのF6Pに対するKm値はNaClにより低下し、PFKのVmax/Km値は150 mM NaClにより、2倍以上になった。高濃度のATPはPFKの活性を阻害したが、NaClによりこの阻害の回復が確認された。一方、ロッカクヒルギ細胞のPFPはF2,6BP依存性であり、1 μM F2,6BP存在下で、NaClにより活性化された。



 
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© 2003 日本植物生理学会
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