日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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新規糖応答性変異株hsiの解析
*塚越 啓央山田 万希子柴田 大輔森上 敦中村 研三
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p. 285

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抄録
植物生長の種々の局面で、糖に応答した遺伝子発現制御が重要な役割を担っている。糖シグナル応答には複数のシグナル伝達経路が働くが、その分子機構の多くは不明である。我々は、サツマイモ塊根主要タンパク質スポラミンのプロモーターに由来する糖誘導性最小プロモーターとLUCの融合遺伝子(Spomin::LUC)を導入したシロイヌナズナを用い、糖に応答したLUC発光を指標にして突然変異体を網羅的にスクリーニングし、25系統の低い糖濃度においても高いLUC活性を発現するhsi型突然変異株と、24系統の糖濃度を上げてもLUC活性が低いlsi型突然変異株を得ている。
Spomin::LUCの発現はABAにも応答するが、発芽時の糖に応答した種々の遺伝子発現抑制と異なり、その糖による発現誘導は、ABI4,ABI5に非依存的である。hsilsi型突然変異株の解析から、ABAに依存的な経路と非依存的な経路によってその発現が制御されていると推定される。
hsi型変異株の中でもhsi2変異株はSpomin::LUCの発現が特に高いが、内生のABAレベルは野生型株とほぼ同じであり、hsi20変異株では糖以上にABAに応答したLUC活性が顕著に高い。またhsi12変異株ではABAに対しては野生型株と応答性に変化はない。
これらhsi型変異株は種子発芽の感受性などの生理的解析やアレイを用いた内生遺伝子の発現解析、マッピング解析などから、新規の糖・ABA応答に関わる変異と考えられた。hsi2変異を2番染色体下椀のおよそ40kbの領域内に特定した。
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© 2003 日本植物生理学会
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