日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナZIM遺伝子過剰発現体における胚軸および葉柄の伸長表現型の解析
*四方 雅仁松田 優子安藤 候平竹村 美保横田 明穗河内 孝之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 336

詳細
抄録
 シロイヌナズナのZIMは、ジンクフィンガーモチーフやCCTモチーフを持ち、転写因子として働くことが予測されている。ZIMは栄養生長期から発現し、茎頂での発現量が高い。ZIMの生物学的な機能を明らかにするため、ZIM過剰発現体を作出した。その結果、胚軸や葉柄が伸長するという表現型が見られた。伸長は細胞伸長によるものであった。胚軸伸長は暗所では野生型と変わらないことから、明所での伸長抑制がきいていないと考えられる。さらに、赤色、遠赤色、青色のいずれの波長の光でも胚軸伸長が見られたことから、ZIMはフィトクロムやクリプトクロムなど光受容体からのシグナルが統合された後のシグナル伝達経路で、伸長抑制に対する負の制御因子として働くことが示唆された。胚軸や葉柄の細胞伸長には、ジベレリンやブラシノステロイドといった植物ホルモンが関与していると考えられている。ZIM過剰発現体における胚軸および葉柄の伸長は、ブラシノステロイド生合成阻害剤であるブラシナゾールにより阻害されたため、伸長にはブラシノステロイドが必要であることが示された。以上のことから、ZIMはブラシノステロイドを介した光形態形成の制御に働くと考えられる。現在、ZIM過剰発現体による表現型がどのような遺伝子の発現によるものかを、マイクロアレイを用いて調べている。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top