日本食品工学会誌
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食品の物性そして水-水分活性とガラス転移
熊谷 仁
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2020 年 21 巻 4 号 p. 161-169

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抄録

食品の水分活性とガラス転移に関して概説した.水分収着等温線は,食品中の水と固体成分の相互作用に関する情報を与える.水分収着等温線を溶液熱力学を用いて解析することにより,水と固体両方の熱力学的パラメータが求められる.積算ギブス自由エネルギー変化ΔGsは熱力学的観点から,固体と水との相互作用の程度評価するのに適するパラメータである.水分収着等温線の熱力学的解析によって得られるパラメータと水分収着に伴うガラス転移温度(Tg)の低下には関係がみられる.水分収着等温線から得られる熱力学的パラメータΔGsaTgの低下の程度ΔTg(≡TgTg0; Tg0は乾燥試料のTg)と高い相関を示した.言い換えれば,水のガラス状食品に対する可塑剤としての効果がΔGsaにより評価しうることになる.

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© 一般社団法人 日本食品工学会
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