日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナCDK inhibitorの機能解析
*仲井 智洋関根 政実新名 惇彦
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p. 408

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抄録
 Cyclin-dependent kinase (CDK) は細胞周期の進行に伴い様々な調節因子により活性が制御される。これまでに動物を中心とした研究が進展し、CDK inhibitorがサイクリン/CDKの活性抑制に機能することが明らかとなった。シロイヌナズナのCDK inhibitor遺伝子(KRP)はゲノム情報から7種同定され、これらの遺伝子産物は動物のCDK inhibitorであるp27Kip1のCDK阻害領域と相同的な一次配列を有するが、各遺伝子産物の詳細な特徴は不明であった。本研究では、KRPタンパク質の機能をサイクリン/CDKとの相互作用の観点から解析した。
 in vitro転写翻訳系を用いて合成したKRPタンパク質とサイクリンまたはCDKタンパク質との結合を解析した。その結果、結合の程度は異なるものの6種のKRPはサイクリン/CDK複合体と結合したが、KRP7は結合が検出できなかった。これまでの報告とは異なり、サイクリンやCDK単独のタンパク質に対しては、すべてのKRPで結合は認められなかった。ヒストンH1を基質としたリン酸化実験系を用いて、サイクリンD2/Cdc2aに対するKRPの阻害活性を評価したところ、KRPは量依存的に阻害作用を示したが、阻害活性の強さはKRPによって差異が認められ、KRPとサイクリン/CDK複合体の結合の強さと阻害活性が相関する可能性が示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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