日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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タバコのE2F相同遺伝子(NtE2F)の機能解析
*上向 健司伊藤 正樹小杉 俊一加藤 晃関根 政実新名 惇彦
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p. 409

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抄録
E2Fは動物の細胞周期のS期進入に必須な遺伝子群の転写を活性化する転写因子で、Rbタンパク質によって負に制御されることが知られている。植物でもE2FやRbといったG1/S期制御因子のホモログが単離されているが、Rbを介した制御機構の詳細について不明な点が多い。本研究では、E2Fによる植物G1/S期移行の分子機構の解明を目指して、タバコE2F(NtE2F)が、タバコRb(NtRb)やサイクリンD(NtcycD)といった他の細胞周期制御因子との相互作用の解析を行っている。これまでにタバコ培養細胞BY-2を用いた一過的な発現解析からNtE2FはヒトE2F-1と同程度の転写活性化能を有することを報告している。今回はNtRbによるNtE2F転写活性化能の抑制を解析するため、S期特異的に発現するPCNAプロモーターを用いた実験系を構築して解析を行った。その結果、NtE2Fの転写活性化能はNtRbによって抑制され、その抑制はサイクリンDによって解除されるが、サイクリンA, Bでは解除されないことを見出した。この結果はNtE2FがS期特異的遺伝子の発現を制御し、NtRbとサイクリンDによりNtE2Fの転写活性が制御されることを示しており、植物でもRbを介した制御機構がG1/S期移行に働くことを強く示唆している。
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© 2003 日本植物生理学会
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