日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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タバコ培養細胞を用いたG1/S期制御の解析
*原島 洋文河村 和恵関根 政実新名 惇彦
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p. 410

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抄録
 タバコ培養細胞BY-2の増殖にはS期に先行して,Aタイプのサイクリン依存性キナーゼ(CDKA)の活性化が必要である. CDKAは増殖期にあるBY-2細胞で優先的に発現しているものの,mRNAの蓄積量に明確な周期変化はない.また,同調培養系を用いた研究より,CDKAタンパク質の蓄積量が周期を通じて一定であるのに対して,ヒストンH1に対するキナーゼ活性はG1/S期とG2/M期に2つのピークをもつ周期変動を示す報告があり,サイクリン/CDKA複合体のタンパク質レベルでの制御が示唆される.
 本研究では培養7日目のBY-2細胞を新鮮な培地に植え継ぐことで,静止期あるいはG1期にある細胞集団を再び細胞周期に移行させる実験系を用いた.p13Suc1カラムによりCDKA画分を調製してヒストンH1キナーゼ活性を解析した結果,G1期からS期へ移行する細胞がみえ始める6時間頃からキナーゼ活性が上昇し,10時間でピークになった.興味深いことに,p13Suc1カラムに含まれるCDKAタンパク質量には変動がみられず,サイクリン/CDKA複合体の活性化にはタンパク質レベルの制御が示唆された.現在,BY-2細胞が増殖を再開する際のオーキシンやショ糖の影響,サイクリンDなどの細胞周期制御因子の挙動について解析しており,ゲルろ過によるサイクリン/CDKA複合体の解析と合わせて報告する.
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© 2003 日本植物生理学会
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