抄録
サイクリンDはCDK (Cyclin-dependent kinase)と複合体を形成してG1/S期移行にRb経路を介して関わる事が知られている。一方、植物にはG2-M期特異的に発現するサイクリンDが報告されており、それらはG2/M期移行に機能する事が推測されている。
当研究室でタバコ(Nicotiana tabacum)より単離した2種のサイクリンD (NtcycD3-2a, NtcycD3-2b)はアミノ酸配列に高い相同性がみられ、主にG2-M期でmRNAの蓄積が観察された。N. tabacum の祖先種とされるN. tomentosiformis, N. sylvestris を用いたRT-PCRの結果、NtcycD3-2aは N. tomentosiformis 、NtcycD3-2b はN. sylvestris 由来のisoformであることが示唆された。さらにタバコ細胞周期制御因子CDK(Cdc2a, Cdc2b)、KRP (KIS1a)、Rbに対してGST pull-down assayを行った結果、両方のサイクリンDがCDK、KIS1a、Rbすべてに結合することが確認された。また昆虫細胞Sf-9株を用いてサイクリンDとCDKのin vitroキナーゼ活性の解析を行った結果、Cdc2aのみならずCdc2bとの複合体もHistoneH1蛋白質をリン酸化することが示された。