抄録
イネ完全長cDNA プロジェクトにより28,469個の完全長cDNAクローンが収集され、塩基配列の決定および機能解析が行なわれている。Blatプログラムを用いたjaponica BAC/PAC クローンへのマッピングの結果、94%カバーのゲノムデータに対して約19000のTU (Transcription Units)上にマップされた。さらに同一TU上にマップされる複数のクローン集団(開始・終始部位の変化、ドナー・アクセプター変化、エキソンスキップ)も検出された。オルタナティブスプライス遺伝子の発現調節機構を明らかにすることを目的とし、マッピング結果からエキソンスキップを示す候補遺伝子を選定した。これらのクローンの情報には膜タンパクや加水分解、転移酵素などが候補として含まれていた。インシリコでの情報を検証するため、候補遺伝子の生体内での発現をRT-PCRにより調査した。さらに、アミノ酸解析ツール(SOSUI:http://sosui.proteome.bio.tuat.ac.jp/sosuiframe0.html, SWISSPORT: http://expasy.ch/swissmod/SWISS-MODEL.html)を用いて立体構造モデルを作成したので、転写産物の機能変化について考察する。