抄録
昨年度の本学会で、(1)熱ショックによるシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の groELやhtpGのmRNAの蓄積は光照射により著しく促進されること、(2)この光依存の転写誘導は光合成電子伝達阻害剤DCMUにより阻害されDBMIBにより活性化されることからプラストキノンの酸化還元状態によるHSP遺伝子の転写調節が示唆されることを報告した。
本研究では、熱ショック応答の光依存性について詳細に解析し、以下の結果を得た。
(1)熱ショックによるgroELやhsp17のmRNAの一過的蓄積は光照射下でのみ観察される。
(2)光は転写産物の安定性に顕著な影響を及ぼさない。
(3)熱ショックタンパク質GroELの蓄積も光照射で促進される。
(4)穏やかな熱処理を光照射下で行うと、暗所に比べて細胞はより大きな熱耐性を獲得する。