日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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スピン相関不対電子対パルスENDOR法による光化学系I反応中心のラジカル対の解析
*三野 広幸河盛 阿佐子伊藤 邦宏Ryo Miyamoto伊藤 繁
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p. 528

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抄録
電子移動を伴う化学反応で生成した不対電子対(RP)は、熱平衡に到達するまでの間、合成スピン(S = 1)としてのスピン相関(スピン分極)を保つ。 通常は磁場中での各エネルギー準位のスピン数はボルツマン分布にしたがうが、相 関を示す生成直後の不対電子対ではスピン数が逆転した負温度状態を形成する。このため強い特徴的なESR信号を示し、レーザー閃光照射による光反応直後のRPスピンエコーは通常と比較してスピン回転平面で の位相が90°ずれたout of phase echoを示す。
 今回我々は、out of phase echoにパルスラジオ波を共鳴させることでラジカル対の信号中に埋もれたNMR信号の検出を試みた。 ホウレンソウ光化学系I(PS I)粒子の電子受容体鉄硫黄センター分子種をハイドロサルファイト添加で還元した後、80Kでのレーザー閃光励起により反応中心クロロフィルP700と受容体フィロキノンA1のラジカル対(P700-A1-を200マイクロ秒間生成させた。このラジカル対寿命に合わせてラジオ波を印加し、いくつかのNMR信号を検出した。この信号はP700分子のプロトンとA1のプロトンのNMR信号の重ね合わせと考えられる。 また、このNMR信号はA.marina膜中PS Iでも観測され、ホウレンソウ中とは異なる信号パターンとして観測されている。 現在詳細を検討中である。
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© 2003 日本植物生理学会
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