総合理学療法学
Online ISSN : 2436-388X
Print ISSN : 2436-3871
症例研究
吸気筋トレーニングにより横隔膜移動距離と最大吸気圧が改善した安定期慢性閉塞性肺疾患患者の1症例
~超音波画像診断装置を用いた横隔膜移動距離の評価を併用して~
水澤 裕貴東本 有司白石 匡藤田 修平杉谷 竜司工藤 慎太郎木村 保福田 寛二
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 1 巻 p. 25-28

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抄録

【はじめに】長期間の外来呼吸リハビリテーションを実施しているにもかかわらず,運動耐容能が改善しない慢性閉塞性肺疾患患者に対し吸気筋トレーニングを導入し,良好な効果が得られたため報告する。

【症例紹介】70代男性,GOLD Stage III,修正MRC Grade II。

【経過】最大吸気圧の30%,50%,70%の負荷圧における吸気筋トレーニング中の横隔膜移動距離を測定した。横隔膜移動距離が最大値となった最大吸気圧の50%を吸気筋トレーニングの負荷圧に設定した。吸気筋トレーニングは,自宅にて1 set 30回を2 set/日,6ヵ月間実施した。その結果,最大吸気圧と横隔膜移動距離の改善を認め,運動耐容能と労作時の呼吸困難感も改善した。また,心肺運動負荷試験では換気効率の改善を認めた。

【まとめ】長期間呼吸リハビリテーションを実施した慢性閉塞性肺疾患患者に対し,超音波画像診断装置による横隔膜移動距離の評価を用いた適正な負荷圧での吸気筋トレーニングを実施して横隔膜動態と運動耐容能が改善した。

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© 2021 一般社団法人 大阪府理学療法士会生涯学習センター
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