2021 年 1 巻 p. 25-28
【はじめに】長期間の外来呼吸リハビリテーションを実施しているにもかかわらず,運動耐容能が改善しない慢性閉塞性肺疾患患者に対し吸気筋トレーニングを導入し,良好な効果が得られたため報告する。
【症例紹介】70代男性,GOLD Stage III,修正MRC Grade II。
【経過】最大吸気圧の30%,50%,70%の負荷圧における吸気筋トレーニング中の横隔膜移動距離を測定した。横隔膜移動距離が最大値となった最大吸気圧の50%を吸気筋トレーニングの負荷圧に設定した。吸気筋トレーニングは,自宅にて1 set 30回を2 set/日,6ヵ月間実施した。その結果,最大吸気圧と横隔膜移動距離の改善を認め,運動耐容能と労作時の呼吸困難感も改善した。また,心肺運動負荷試験では換気効率の改善を認めた。
【まとめ】長期間呼吸リハビリテーションを実施した慢性閉塞性肺疾患患者に対し,超音波画像診断装置による横隔膜移動距離の評価を用いた適正な負荷圧での吸気筋トレーニングを実施して横隔膜動態と運動耐容能が改善した。