抄録
無機炭素濃縮機構は、光存在下でCO2欠乏の際に誘導される。CCMの誘導は光強度に対してどの程度依存するのかを知るために、光強度とCO2濃度を変化させて、光合成速度と無機炭素に対する親和性を測定した。1.2% CO2条件では、光強度を上げるに従って、無機炭素に対する親和性が上昇した。cDNAマクロアレイを用いて、光とCO2の変化に応答した遺伝子発現を網羅的に調べた。クラミドモナス細胞を5% CO2、120μEm-2s-1であらかじめ培養し、光強度を1000μEm-2s-1に変化させた。また、CO2欠乏条件には0.04% CO2の通気を行った。 両ストレス処理後、0.3, 1, 2, 6時間後の各サンプルからRNAを抽出しアレイ実験に用いた。391遺伝子の発現が変化し、132遺伝子が強光応答性を、317遺伝子が低CO2応答性を示した。強光応答シグナルと低CO2応答シグナルのクロストークについて議論する。