日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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光呼吸酵素ホスホグリコール酸フォスファターゼの変異株pgp1におけるトランスクリプトーム解析:CO2応答性遺伝子の発現調節との関連
*嶋田 絵美山野 隆志鈴木 健策大坪 拓真大山 莞爾福澤 秀哉
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p. 622

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抄録
無機炭素濃縮能をもつ生物における光呼吸の重要性はこれまで明らかではなかった。Phosphoglycolate phosphatase(PGPase)は、光呼吸経路の最初の反応生成物であるphosphoglycolateをglycolateへ変換する。その変異株pgp1は高CO2要求性を示す。これは低CO2でphosphoglycolateが蓄積し、光合成が阻害されるためと考えられてきた。しかし同時にCCMが誘導されていない可能性もあった。そこで、pgp1でのCCM関連遺伝子の発現を調べるために、cDNAマクロアレイを用いて低CO2条件下での遺伝子発現を網羅的に調べた。pgp1では低CO2条件で誘導されなくなった遺伝子(Ccp1:葉緑体胞膜タンパク質遺伝子)や、誘導はされるが発現レベルが低下した遺伝子(Mca:ミトコンドリア炭酸脱水酵素遺伝子)が認められた。影響を受けたこれらの遺伝子がpgp1の高CO2要求性に関与している可能性が考えられた。またCah1のように変異の影響を受けなかった遺伝子も存在した。今回、光呼吸系の主要酵素の変異が多くの遺伝子の発現レベルに影響を与えることが明らかになった。
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© 2003 日本植物生理学会
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