日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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食用アスパラガスにおけるBクラス遺伝子の単離及び発現解析
*朴 珍姫菅野 明亀谷 寿昭
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p. 636

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抄録
食用アスパラガスの花はwhorl1と2に花弁状の花被を形成する同花被花植物である。同花被花の花被形成メカニズムについてはModified ABCモデルが提唱されており、このモデルによるとBクラス遺伝子がwhorl2、3だけでなくwhorl1まで発現することにより、whorl1においても花弁状の器官を形成すると説明される。しかし、このモデルが全ての同花被花の花被形態形成を説明できる普遍的なモデルであるかはまだ明らかではない。そこで本研究では形質転換が可能である食用アスパラガスを用いて、Bクラス遺伝子の単離を試みた。その結果、1種類のDEF-like遺伝子(AODEF)と2種類のGLO-like遺伝子(AOGLOA, AOGLOB)が単離された。サザンブロット解析の結果、これらの遺伝子は全て単一コピーであることが確認され、ノーザンブロット解析の結果、花だけで特異的に発現することが明らかになった。さらに、in situ hybridizationによる花発達における発現パターンを調べた結果、食用アスパラガスのBクラス遺伝子はwhorl 2と3のみで発現が観察され、whorl1においてはシグナルが検出されなかった。これらの結果から、食用アスパラガスの花被形態形成はModified ABCモデルでは説明できず、食用アスパラガスのBクラス遺伝子は花被形態形成には関与しない可能性が示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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